これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

ヘンリー・アルヴァーツ氏逝く

いささか旧聞に属するが、この春にヘンリー・アルヴァーツ氏が亡くなられた。
この業界にあっては、彫刻家としての確かな技術を基礎に、蝋人形館展示物やコレクターマスクのみならずテーマパーク向け彫刻物のデザイン・製作、映画・テレビ向けの特殊効果(「トータルリコール」の例のシュワちゃん着用のおばさんマスク等)、ライセンスによるブロンズフィギュア、モニュメント用の巨大彫刻物の製作など幅広いジャンルでその才能を発揮した、唯一無二と言っていい紛れも無い巨匠だったと思う。

当方、貧乏コレクターゆえあまり注文はできなかったのだが、注文の際は懇切丁寧なメールをこまめに送って頂き、その強面の外見とは対照的なやさしい側面に触れたことも今は懐かしい思い出である。

そんなヘンリー・アルヴァーツ氏のキャリアは40年以上も前の1968年に始まる。カリフォルニア州グレンデールのストゥバーグスタジオに雇われたのがキッカケだった。師匠に当たるのは偉大な彫刻師であったキャサリン・マリー・ストゥバーグという女性。若い頃の写真を見るとこれが映画女優並みの美女である。このキャサリンからヘンリーは等身大ワックスモデルの製作方法や技術を徹底的に仕込まれたらしい。
1970年にキャサリンが引退すると、会社は売却され、ニューヨーク州ナイアガラフォールズに再移転する計画が出た。キャサリンがいなくなり、ワックスモデルの製作ができるのはヘンリーだけになったため、彼は製作マネジャーとして雇われ、ニューヨークから新しい事業所を立ち上げるために東に戻った。

1976年後半までこの仕事を続けた後、ヘンリー氏は家族を連れてカリフォルニアに戻ることを決意し、そこでアルヴァーツ・ワックス・プロダクションを立ち上げ現在に至っている。

こういう経歴だけ見ても一般的なマスクアーティストとはかなりかけ離れたものだったことが分かるだろう。

取り込み中のスタジオにメールするのも何なので自重していたが、スタジオの今後が気になったのでちょっと前にお悔やみともども問い合わせてみたところ、すかさず奥さんのアンドレアさんから返信を頂いた。

それによると今後のスタジオの運営はカリフォルニアのパートナーがメインになって行うこと、また生産ラインを縮小するためラテックスマスクの生産は辞めたとのことだった。

まだまだ利用可能なモールドを大量に保有しているのに実に勿体無い話である。ついついマスク関連業務をデヴィッド・レディさんなどに委託してはなどと提案してしまったが、かなり余計なことだったかもしれない(汗。

ともあれマスク界の巨星を偲んでいくつか画像を貼って筆を擱くことにする。写真はすべて生前ヘンリー氏ご本人から送って頂いたものである。










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