これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

シリコンヘッドの妖しい誘惑

映画や小説にしばしば重要なテーマ、モチーフとして登場するマネキン人形や蝋人形。「肉の蝋人形」「デビルズゾーン」等のホラー映画、「蝋人形館の殺人ディクスン・カー)やマネキン人形殺人事件」(S・A・ステーマン)等の本格ミステリの数々―そこではそれら人形の持つ不気味な側面を多かれ少なかれ利用して作品が成立している事はいうまでもない。
とりわけ蝋人形は生身の人間ソックリということで格別インパクトが大きいせいか、蝋人形が登場するだけで俄然ホラー色が強くなるように思える。
蝋人形の登場する映画で代表的なモノといえば、上に掲げたホラーのクラシック「肉の蝋人形」だろう。聖飢魔Ⅱデーモン閣下の決め台詞「お前も蝋人形にしてやる!」(「蝋人形の館」より。作詞はダミアン浜田)のルーツとも言える作品で、チャールズ・ベルデンの戯曲を原作とし、過去何度かリメイクされているが、2回目のヴィンセント・プライス主演(1953年)が世代的に最も印象深い。

復讐に取り憑かれた狂気の蝋人形師が本物の人間を次々に蝋人形に仕立てるという大時代的なストーリーで、ヴィンセント・プライスの当たり役だ。何の変哲もない「House of Wax」という原題に「肉の蝋人形」と名付けたセンスがなんとも秀逸で、映画の内容を見事に表している。前半の山場、火を放たれた館内で刻々と蝋人形が溶けていく様は当時としては結構グロで、この映画の見せ場のひとつだろう。ここでは人と見紛うばかりの蝋人形の持つ妖しさ不気味さが最大限引き出されており、目の前で溶けていく蝋人形はまさしく人間の ”代用” なのである。

この蝋人形というやつ、かねがね1,2体コレクションしてみたいと思っているが、どうにも高額で手が出ない。日本を代表する蝋人形師、蝋プロの松崎氏のインタビューによれば1体150万円〜800万円もするそうで、やはり公共の展示館などの注文がメインのようだ。個人的に取引のあるヘンリー・アルヴァーツ・スタジオはこの蝋人形のプロでもあり、価格は以前問い合わせたところでは日本より多少安いようだが高額である事には変りなく、いずれにしてもビンボー人には高嶺の華である。もともと個人購入はあまり視野に入っていないようで、価格の高いのはそのためだろう。Ebayなどで手頃な中古品をちょくちょく見掛けるが、購入を視野に入れるほどの完成度のものにはめったにお目にかかれない。


筆者所有の蝋人形関連書コレクション。右端は生人形展のパンフ。

そこで代りの物というと何だが、ここ数年はシリコンヘッドの方に着目するようになってきている。

シリコンは元々映画の特殊メイクなどで使用されていた素材で、ラテックスなどに比べでもそのリアルさは圧倒的である。これまでは十分に表現できなかった人間の皮膚の柔らかさやしっとりとした肌合いまで再現でき、その完成度は蝋人形を遥かに凌駕する。人のレプリカとしては最適なものであり、さしずめこれが現代版の蝋人形といえそうだ。

予算の関係でコレクションとしてはまだまだ始まってもいないレベルだが、ここに最近入手したものを1点紹介しておこう。

本物よりイケメンな造形。

シャツは中古屋で入手。胸口を破いて切口をライターで炙って馴染ませてある。

スィート!

目がグラスアイだとさらに良いのだが。

写真は映画「ゾンビ」に登場する人気キャラのひとつエアポートゾンビのシリコン製バストモデル。ハードプラ製の通常版の方は以前本家サイトのマスクコーナーに掲載したが、これはKNBイフェクツの2人社長の一人、グレッグ・ニコテロ氏が自らキャスティング、ペイントしてコレクター贈答用に2,3体のみ制作したものの1体で、今年、アメリカのコレクターと交渉して安く譲って頂いたものである。ニコテロ氏ご本人のペイントなのでさほど細密塗装というわけではないが、しっかりサインも入っており、実にクールな出来で最近のお気に入りのひとつである。

こいつを傍らに、4月にスティングレイさんから出た『ゾンビ 新世紀完全版DVD-BOX』を観ると最高だと思う今日この頃・・・・・・。実はこういうのに大枚はたいているのでDVDの方はまだ買ってないんだけれども(爆。


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