これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

ドンポストスタジオの終焉

ジョー・ライリー、ハリー・インマン、ヘンリー・アルヴァーツの訃報のように、この数年マスク業界では暗い出来事が相次いでいたが、今度は業界の老舗であるドンポストスタジオの閉鎖というショッキングなニュースが飛び込んできた。1938年以来続いていたマスク界のドンがもう存在しなくなってしまったと言う、なんともはや寂しい話である。
聞くところによると、スタジオの親会社に当たるPMG(ペーパーマジックグループ*1)が売却され、新しいオーナーによって社長のドンポストJR以下すべてのスタッフが解雇されたらしい。この新しいオーナーはPMGのコスチューム及び装飾品生産ラインとその販売経路が目当てだったようで、PMGの一部でしかなかったDPSには全く興味が無く、したがって完全閉鎖を余儀なくされたとのことである。

閉鎖間際に製造した製品のいくつかは、コスト縮減のため中国の安い工場に生産ラインを移したため酷く雑な仕上げになったようで、最初の製品サンプルを見たスタジオ関係者も驚いたようだ。これら最後の商品はちょうどいまごろ市場に出回っているはずである。

98年頃、ドンポストスタジオが往年のカレンダーマスクの豪華函入り復刻版を出してファンを喜ばせたのはまだ記憶に新しいが、皮肉にも大手ペーパーマジックグループの傘下に入ったのはその直後であり、事実上、この頃からコレクター向け事業からは手を引いた格好になっていた。初期の商品のいくつかは引き続き作られていたものの、この10年の主力商品はスペンサーズギフトやチェーン店のドラッグストアでハロウィンの時期になると売っているような、安価なグッズがほとんどであり、コレクターからは半ば忘れられた存在になっていた。

とはいえ、完全に無くなってしまうとなると話は別である。マスクと言う商品を定着させ、アメリカの消費文化の一端を担ってきたトップランナーの引退は、子供の頃からスタジオの商品に親しんできた人たちを少なからず動揺させているようだ。

今、かたわらに復刻版の函入りカレンダーマスクを積んであるが、サイドショウなどの精密なレプリカ全盛の時代でも、このレトロな味わいは今もって非常に魅力的である。VXXスタジオのようにインディーズでもこういうレトロなマスクを造るスタジオを見掛けるが、みんなドンポストへの郷愁なんだろうなと思うと、いまさらながらその影響力の大きさには感慨深いものがある。

ブログ主のドンポストコレクション

さてこうなってくると気になるのはスタジオの財産である膨大なマスクモールドやマスターの行方である。ebayで一部それらしいものが出品されているのを見かけるが、散逸させてしまうのは惜しい気がする。貴重な文化財として誰かがまとめて保管するのがベストだが、アルヴァーツスタジオ同様、そうもいかないようだ。なんとも哀しい話ではある。

ともあれ、今後、ドンポストJRの動向や、スタジオの再建の可能性ともども、しばらくは静かに成り行きを見守っていきたいと思っている。


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*1:このペーパーマジックグループはそれ以前にイリューシヴコンセプツも吸収している。