これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

上々の出来! /アイアムアヒーロー

またまた空いてしまいましたが久々の更新っす。
今回久方ぶりの映画レビューで、モノは昨日公開初日の大泉洋主演「アイアムアヒーロー」。「ナイトメアシティ」みたいな走り系ゾンビ映画の1本でした。

STORY
鈴木英雄(大泉洋)35歳。職業:漫画家アシスタント。彼女とは破局寸前。そんな平凡な毎日が、ある日突然、終わりを告げる…。徹夜仕事を終えアパートに戻った英雄の目に映ったのは、彼女の「異形」の姿。一瞬にして世界は崩壊し、姿を変えて行く。謎の感染によって人々が変貌を遂げた生命体『ZQN(ゾキュン)』で街は溢れ、日本中は感染パニックに陥る。標高の高い場所では感染しないという情報を頼りに富士山に向かう英雄。その道中で出会った女子高生・比呂美(有村架純)と元看護師・藪(長澤まさみ)と共に生き残りを賭けた極限のサバイバルが始まった…。果たして彼らは、この変わり果てた日本で生き延びることが出来るのか。そして、英雄は、ただの英雄(ひでお)から本当の英雄(ヒーロー)になれるのか!?(公式サイトより)
映画テレビはもちろん、バイオハザードなどのゲームでも最早ゾンビは定番化していて、今ではあまり新鮮味がなくなってしまいました。「ウィルスに感染したクリーチャーでゾンビではない」といった区別をしている作品も多いですが、呼び方や細かい設定の違いだけのことで、結局は似たようなもんです。

この作品もジョージ・A・ロメロが産み出したゾンビフォーマット(噛まれると感染、頭を破壊しないと死なない等)を基本に、その後の走り系ゾンビの要素を加味したパニックホラーで、アウトレットモールに籠城したり、生き残りの籠城グループとの対立があったりと、これまでのゾンビもので描かれてきたパターンから1ミリも出ていないと言えるもの。むしろロメロへのオマージュなのか意図的に「ゾンビ」に寄せたようなシーンが出てきてロメロファンなら思わずニヤニヤしてしまうかもしれません(パンフには「ゾンビ」の"ショッピングモール"と同じにならないようにこの映画では"アウトレットモール"に変えたとあるけれど、そんなの変えたうちに入りませんやんw)。

が、これまでのゾンビ映画にあまりなかったオリジナルな美点が一つだけありました。
それは大泉洋ふんする主人公のヘタレヒーローキャラの魅力であり、これがあるために数多い類似ゾンビ映画の中でも際立った1本になったと思います。

売れない漫画家アシスタントのパッとしない日常−それがZQN(なんか2ちゃんぽい名前ですが)が町に溢れる狂気の世界から有村架純演じる女子高生を助けて逃げる過程で徐々にヒーローっぽく変わっていく、、、
まさにこの成長物語がこの映画の一番の見どころであり、このキャラを大泉洋が抑えた演技で見事に演じています。ドキュメンタリーみたいにクールで残酷なロメロの映画にこんな人間臭いヒーローは出てきませんから、これは新しいと言えるでしょう。

監督は「GANTZ」、「図書館戦争」等で知られる佐藤信介。「GANTZ」ではアクションシーンの最中に妙に感傷的なシーンを入れてリズムを崩すような演出がすごく気になったのですが、今回演出は妥当なものであり、一切の外しなし(ま、個人的意見です)。実銃が使え、カースタントの機材のある韓国ロケが良い効果をもたらしたのか、緊迫感のある良い絵が観られます。アクション映画の演出は今や韓国の方が進んでいるのでしょうか? また、完全に作りこんだアウトレットモールのセットも凄いリアリティのある雰囲気を作り出しており、成功していると思います。

ダメ男の鈴木英雄がいつどう変わって行くのか、その過程を観ることが実に楽しい映画。原作者の花沢健吾も気に入ったというロッカーの中から飛び出すタイミングをしつこくシミュレートするシーン、ドアにかみついたてっこZQN(英雄の彼女=片瀬那奈)の歯がぽろぽろ落ちるシーン(これは原作からか?)、さらに生前の習慣を繰り返すZQNの細かな描写等、ディテールにも色々アイディアがあって見どころ満載。

最大の見せ場はラストの大量に迫りくるZQNを大泉洋がショットガン97発で次々頭部を破壊していくところ。まるでスイカのように破裂するZQNの頭部。CGも実によく出来ており、これは超楽しい。そしてボスキャラともいえる頭の陥没したZQNとの対決。こいつが良い味出してました。

ラストは決着がついたわけではないので、パート2、パート3と作れそうですが、たぶん同じことの繰り返しになりそうなので1作でやめとくのも見識かも。

ということで実に楽しいあっという間の2時間6分。ゴールデンウィークの映画鑑賞に強力おススメの1本でありました。


*このブログはWEBサイトクリーチャーズショーケース内の1コンテンツという位置付け。本家も覗いてやって下さい。ここへのリンクはメニュー頁右下です。creatures_showcase

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