これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

ファンハウスフリークの巻/マスクレビュー#2

数多いノンフィルムマスクメーカーの中でも、ピカイチの人気を誇るジェレミー・ボア。
現在はフルタイムの活動から遠ざかっているせいか常時オーダーができなくなってしまったのは残念ですが、それが時間をかけた質の高い作品に繋がるなら、ファンとしてはかえって楽しみなことではあります。

さて、ジェレミーの代表作として真っ先に思い浮ぶのは、「ファンハウス/惨劇の館」のファンハウスフリークと「ドラキュリアン」半魚人の2つ。
この2キャラについては、なによりアーティスト本人が強いこだわりを持ち、何度も原型にチャレンジしている特殊なパターンで、特にファンハウスフリークにはいくつかのヴァリアントやバージョン違いがあることが知られています。
今回はこのファンハウスフリークを取り上げてみます。


カスタムフリーク(2008)


暗くしたら結構コワッ!

画像はブログ主のコレクションしているピース。これ、本家マスクセクションにUPしているファースト(もちろん、まだ持ってます)とは別バージョンで、2008年にリリースされたカスタムデラックス版の方です。

初版オリジナルとの違いは、
1.生え際のヘアラインが1本1本植毛処理されている。
2.歯はレジン製の別パーツを使用。
3.右目が再モールドされている。

の3つ。これ以外にエポキシのヨダレがあるのも相違点ですが、これは他バージョンでもちょくちょく見掛けるので省きます。

さて1番目のヘア処理ですが、生え際のみをパンチングするというのは、かつてヘンリー・アルヴァーツスタジオでもオーダーオプションにありました。ヅラを貼っつけただけと比べると料金に300ドルも差があって当時驚いたものですが、ただ見栄えは断然良くなります。
このマスクでの処理はまだ技術的に上手くいっていないようで、毛穴が大きくやや不自然な気がします。
一般的にプロップマスクの植毛には人毛、ヤクの毛(NFT)等が使われますが、このマスクにはあまり毛髪っぽくないツヤのあるサラサラした質感の物が採用され、それもあって違和感を助長しているのかもしれません。

2の歯に関しては、オリジナルが丸みのある造形だったのに対し、別パーツにした結果、より長くシャープな印象になり、これはグッと良くなりました。

3番目の右目の変化については、ぱっと見気付かない人が多いはず。ファーストがカッと見開いた造形だったのを、今回、左目に合わせるように目蓋がやや下がった状態にさりげなく修正されています。わずかな違いですが左右のバランスがとれて表情が自然になり、これも良い改変だったと思います。

とまぁ、ざっとチェックしてみても、相変わらずの細密なペイントの素晴らしさはもとより、大変厚みのあるブラックラテックスを使用したガッシリした作りで非常に素晴らしい出来。
ブログ主がここ数年に入手したマスクのなかでも本マスクはもっとも気に入っているものです。

さてこれ以外のバージョンというと、2010年リリースのインブリーダー、2011年リリースのニューガンサーの2種があります。




インブリーダー(2010)



ニューガンサー(2011)

インブリーダーはやや両目の距離が近く、赤黒い大きな瞳が印象的なピースで、ベースは同じでもすでに映画からは離れたオリジナルデザインに近づいています。イベント用に向けて制作されたものですが、ちょっとフリーゲームで有名な「青鬼」っぽくなっているのが面白いです。
ここでも精密なペイントは相変わらずで、より洗練され、ある意味かなりクリーピー。生え際の処理に関してはこのバージョンが一番かもしれません。

ニューガンサーは、インブリーダーで近づいた目を再度離してみましたといった感じで、ファーストよりさらにシワが多いのと、口が閉じているのが最大の特徴です。
映画のイメージに近づけようとしたのか、逆に自由なデザインにしたかったのか、いまいち意図が分かりませんが、結果的には離れてしまったという感じ。個人的にはあまり好みの造形ではありませんが、ヘア処理だけは映画に近い雰囲気になってます。

ということでざっと各バージョンをチェックした結果でみると、このキャラに関してはやはり今回上でご紹介したカスタムフリークが決定版という気がします。
飾って良し、眺めて楽しい好ディスプレイであり、"真打"としてお勧めする次第。非常に限られた数しか制作されていないので入手困難ではありますが、この映画のファンでこのクールなキャラを好むなら即GETする価値のある逸品ではないかと。

さて最後に、リックベーカーの創造した本家オリジナルのファンハウスフリークの方についても少し触れておきましょう。

つい3年前まで、リックベーカーの自宅にはファンハウスフリークのコピーが保存されていました。これはオリジナルモールドから抜かれ、ノーマン・キャベラ(FXアーティスト。最近では「キルビル」などに参加)によってペイントされ、さらにヤクの毛での植毛及びポリフォーム充填処理がなされたレプリカでした。
で、ベーカー先生、「興味がある人がいたら譲ってもいいよ」と言ったからさあ大変。USのコレクターからかなりの数のメッセージが押し寄せたとの由。
私もメールしようかとかなり迷いましたが、さすがにレプリカではあっても天下のリックベーカーの作品を、それも当のご本人に10万円程度(当時、それが払える限界^^;)で譲れとは言い出しにくい(汗)。諦めて成り行きを見ていたら、後日、幸運なコレクターの許に送られたとの報告がリック・ベーカー氏からありました。いや羨ましい限りです。

ま、ふさわしいコレクターの許に嫁いだと思えば、さほど気になりませんが、、、、
、、、この時ほど(いや、この時「も」かな・・・)アメリカに生まれていて、天井の高い大きな家に住み、さらにお金があったらなぁとつくづく思ったことはありましぇん。くぅ〜!!!


*このブログはWEBサイトクリーチャーズショーケース内の1コンテンツという位置付け。本家も覗いてやって下さい。ここへのリンクはメニュー頁右下です。creatures_showcase

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