これくたぶる!

モンスターマスクコレクター、ALI@ハット卿のマスクと本と映画に関する無駄話。不定期更新。

ペイルマンの巻/マスクレビュー#3

ギレルモ・デル・トロと言えば、アメコミ映画化「ヘルボーイ」や日本ロボットアニメ風SFアクション「パシフィック・リム」など、主にSFホラーファンタジー系作品群でこの数年徐々に存在感を高めているメキシコ出身の映画監督。昨夏には人気ゲームクリエーター小島秀夫とのコラボによるホラーゲーム「Silent Hills」の企画発表でゲーム界にも殴り込みをかけ*1、まさに今が旬といった感じの人であります。
この監督に「パンズ・ラビリンス」(2006年スペイン・メキシコ)という作品があって、これがなかなかの秀作。
内戦後のスペインを舞台に、孤独な少女の精神世界の冒険を描いたダーク系ファンタジーで、エンターティメントとアートがほどよく融和したユニークな世界観は一見の価値あり。裏世界である少女の残酷かつファンタジックな幻想世界と並行して現実世界での政府軍とレジスタンスとの戦いが淡々と描かれますが、一番の見どころは、やはり幻想世界の美術や次々と登場する奇怪なクリーチャーなどに尽きるでしょう。元々ディック・スミスに師事し、長年特殊メイク畑にいたとのことでブレイド2ではリーパーなんぞというグロなクリーチャーを登場させていたギレルモ監督、この映画でもいくつかの個性的なキャラが登場し、なかなか魅せてくれます。

中でも気になるのがペイルマン*2という、毛をむしられたニワトリみたいな、はたまた皮のたるみまくった爺さんみたいな目のない気味の悪いやつ。1シークエンスのみのちょい役にも関わらず、デザインが斬新で早くからモンスターファンに注目されており、比較的早い段階でフィル・ニコルズなどがマスクをリリースしていました。

ブログ主もかなり気に入っているキャラで、ひとつ欲しいなと思っていたところ、昨年、スペインの特殊メイクアーティスト、アルトゥロから新作の案内が来て、その中にペイルマンのシリコン製バストがあるのを発見! オリジナルモールドではなく新規の造形とのことですが、実際の映画でもこのペイルマンは彼が制作しており*3、そういう意味では「ほぼ本物」なわけです。

欲しいけどシリコンなので価格がなぁと迷っていたら、以前イエティのシリコンヘッド(本家マスクセクション参照。ここをクリック)を購入してくれたので、今回は2回分割払い、しかも15%割引きクーポン付、さらにアメリカまでは送料無料でいいよとの好条件! 
ちょっと高かったのですが・・・・そんなに言うのならと・・・

買っちまいました。^^;

ということで先日やっと届いたのがこれ。

いや〜見れば見るほど変な顔。

頭の中はしっかりフォームが詰まっていて結構硬いです。

口の横のヘルペスみたいな黄色いのがリアルです

全体はアルビノ系の乳白色のスキンで覆われており、ところどころ青い静脈や赤い毛細血管が走っており超リアル。なんといってもシリコン特有の透明感が半端なく、これはラテックスやレジンでは表現できないところ。老人を思わせる垂れ下がった皮膚が毛を剥がした鶏みたいな感じで、このシリコンの透明感と相まって薄気味悪さを際立たせています。
監督によると皮膚が垂れているのは元々太っていたのが痩せたから、小さな穴だけの眼はエイの腹からの連想で、すべてギレルモ監督自身のアイディアとのこと。エイリアンと同じく、やはり目がないことでキモさがよりパワーアップしており*4、奇怪さに哀れな感じも混じったそのブレンド具合が絶妙なキャラというしかありません。これは傑作っす。

ネット上で探すとほぼ同等のレプリカを制作しているアーティストも見掛けますが、さすがにオリジナルを制作したアーティストの手になるものだけにやりすぎ感がなく、スッキリしていて実に美しいバストです。残念ながら1点モノだったらしく、すでに彼のオーダーリストからは削除されているようですが、オーダーすれば入手も可能かもしれません。

ちなみに、あの映画のもう一つのキャラ、パンも現在制作中とのこと。あまりファンタジー映画のキャラクターを持っていないので、完成したらこれも入手するかも。
ともあれここ10年くらいの映画の中では非常に気に入っており、かつ優れたキャラのひとつと思うので取り上げてみました。


*このブログはWEBサイトクリーチャーズショーケース内の1コンテンツという位置付け。本家も覗いてやって下さい。ここへのリンクはメニュー頁右下です。creatures_showcase

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*1:ちなみにこのゲームの広報を兼ねて小島秀夫監督が制作した無料体験版ゲーム「P.T.」は「超怖い」ということで昨夏ゲームファンの間でかなり評判になり、ひと頃動画サイトではこのゲームの実況が次々とアップされた。

*2:"パールマン"との呼称もあり。今回はDVDBOX付属のパンフレット内での呼称を使用

*3:映画ではマスクではなく、俳優へのアプライエンスパーツの貼りつけで制作。

*4:ちなみにこの映画に出てくる"眼球"のすべてはアルトゥロが一人で担当したとのこと